2019年1月5日土曜日

睡眠を制すものは記憶を制す! vol.1

睡眠を制すものは記憶を制す!

 
センター試験まであとわずかとなりました。私立大学入試も本番を迎えます。この時期、焦って無理をする生徒が必ずいますが、むしろ焦りは逆効果に成りかねません。なるようにしかならない、と張り詰めた気分を落ち着かせることも必要。「眠れぬ毎日を過ごしています」とある生徒さんからの悲鳴ともいえる声を聞きました。そこで、「睡眠」について考えてみしょう。
 
 
人間にとって大切な睡眠。この睡眠のメカニズムを正しく理解することで、効率よく受験勉強ができるはずです。以下、甲南大学 知能情報学部 前田 多章 先生の記述を元にまとめてみました。


①生活リズムを整えて良質な睡眠を手に入れよう

現代の日本は、良質な睡眠がとりにくい生活環境にあります。スマホや携帯などの個人情報端末の発達や、深夜まで明るい照明環境が、睡眠に悪影響を及ぼしているからです。1960年から2005年までの45年間で、日本人の平均就床時間は、小学生で60分、高校生で90分ほど遅くなっており、実質的な睡眠時間も1時間近く短くなっています。とりわけ受験期の子どもたちは、睡眠時間を削って勉強しがちです。しかし、勉強したことをしっかりと記憶するのには、睡眠がとても重要な役割を果たしていることがわかってきました。十分な記憶力を引き出すには良質な睡眠が不可欠なのです。では、良質な睡眠とはどのような睡眠でしょうか。睡眠と記憶のメカニズムをわかりやすく解説した上で、良い睡眠をとるために、家庭でできる工夫について考えてみます。


②睡眠は心身を修復し、健康を保つのに不可欠

 最初に、睡眠がいかに大切か、簡単に紹介しておきましょう。睡眠には、心身を修復したり、脳を休めたり、記憶を整理したりと、さまざまな働きがあります。とくに成長期の子どもにとって、睡眠は非常に重要です。成長ホルモンは血液中に高濃度で存在することにより働きます。低濃度では効果が出ません。成長ホルモンは、しっかり寝ていると睡眠の前半で高濃度に分泌され、この高濃度の成長ホルモンこそが子どもの成長を促してくれるからです。
 震災などに遭遇して十分な睡眠がとれなかった子どもたちには、発育が阻害されているケースが多くみられます。調べてみると、昼間の成長ホルモン量が高いのです。成長ホルモンの1日の分泌量は、寝ても寝なくてもほぼ一定ですから、昼間の分泌量が高いということは、夜間に濃度が高くならなかった、つまり十分な睡眠がとれなかったことを意味しています。この不充分な睡眠が成長に悪影響を及ぼすのは、何ヵ月も何年も続きます。
 睡眠には、体温を下げる機能があります。脳は人間の体の中で最もエネルギーを消費する器官で、筋肉の約4倍にものぼります。そのため、睡眠によって体温を下げ、休息させないと脳がオーバーヒート状態に陥り、不都合なことが起こります。
 たとえば、脳の扁桃核という部位は、恐怖や不安といった負の感情にかかわっていますので、睡眠により扁桃体を休息させることによって、こうした負の感情を軽減させることができます。昼間いやなことがあっても、一晩寝れば、いやな出来事自体は覚えていても、いやな感情は弱まったり消失したりします。しかし十分な睡眠がとれないと、いやな感情は次の日も持続します。睡眠は、心の修復にも一役買っているのです。
 今回のテーマである記憶にも、睡眠は深くかかわっています。きちんと睡眠をとらないと、昼間苦労して覚えたことも記憶として固定されず、忘れやすくなってしまうのです。
 このほか、睡眠不足は糖尿病や心臓病のリスクを高め、肥満率も高めます。さらに、良質の睡眠をとらないとストレスホルモンが睡眠中に過剰に出て風邪を引きやすくなり、また、うつ病を発症する確率も高まります。筋肉の疲労は、長くても数分程度の休息で回復しますが、勉強などによる脳の疲労(神経疲労)は、一晩の睡眠でしか回復しません。健康的に生活するためには、睡眠は死活的に重要なのです。
 
 
次回につづく・・・


ガンバレ受験生!! BY JJ

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