2019年1月21日月曜日

センター試験速報

今年度実施のセンター試験に関するコメント


1.志願者、受験者数
     
 今回の大学入試センター試験は、1月19日・20日の両日に、全国693の会場で実施されました。 参加大学・短大数は昨年より4大学増加し過去最大の852大学となり、大学入試センター試験志願者確定数は576,830人(昨年582,671人)で、昨年に比べ5,841人(前年比99.0%)の減少となりました。 内訳をみると、現役生志願者数が昨年の473,570人から464,950人と8,620人減少、既卒生等が昨年の109,101人から111,880人と2,779人増加となりました。
 来春の高校卒業見込者(現高3生)は、1,057,018人と昨年から4,867人減少(前年比99.5%)するが、現役生の志願者数はそれを上回る減少率となります。 センター試験の現役志願率(センター試験現役志願者数/高校卒業見込者数)は近年上昇傾向にありましたが、昨年から0.6ポイント下降し44.0%となりました。
 既卒者等の志願者数の増加は、昨年の難関私立大学を中心とした合格者絞り込みがあるなど、厳しい入試背景が影響したと思われます。
 本試験の受験者数は、外国語ベースで538,603人(昨年548,465人)となり、志願者に対する受験率は93.4%で昨年の94.1%から0.7ポイントのダウンとなりました。
 英語のリスニングテストで、ICプレーヤーの不具合等による再開テストが62試験場であり67人が受験。 また、各地で監督者のミスなどがあったようだが、天候による交通機関の乱れなどの大きなトラブルはなかったようである。
 科目間で20点以上の平均点差が生じ、これが試験問題の難易差に基づくものと認められる場合に実施される得点調整は、今回実施される可能性は低いと思われる。
 
 
2.出題内容
     
 2018年11月に2021年度入試から導入予定の「大学入学共通テスト」に向けた2回目の試行調査の問題が示された内容であった。 読解力を要する問題や対話形式での出題、また文章や図表など複数の素材から考えさせる設問が目立つ内容で、昨年のセンター試験においても、そのような内容を意識したと思われる特徴的な出題がみられた。 今年の出題でも昨年に引き続き、対話形式での出題や図の読み取りから考察する問題がみられた。

 一例として、
 生物基礎では、仮説を検証するために必要な実験を選ぶ問題や実験の結果に基づいて考察する問題の割合が増えている。 また英語(筆記)では、昨年同様に第3問で話し合いの発言内容をまとめる問題などで、より実践的なコミュニケーション能力を問う傾向が今年も続いている。 日本史Bでも会話形式の出題が継続しており、昨年は歴史学科を卒業した観光課の新人職員とその先輩の会話文であったが、今年はある大学の歴史サークルに所属する先輩と後輩という設定からの出題がされた。 また、歴史資料をもとに考察させようとする出題も引き続きみられる。 物理では、透明な壁を挟んで2人が向かい合ったときの見え方など実験・観察に基づいた出題。 地学では、地球と金星、火星の大気に関する会話文から金星と火星の気温の鉛直分布のグラフを求める出題があった。
 
次回、各教科・科目の特徴をまとめてみたいと思います。
 
ガンバレ受験生!! BY JJ

2019年1月16日水曜日

センター試験直前の注意事項

いよいよ今週末に迫ってきました、センター試験。 天気は全国的によさそうなので、交通機関の混乱もなく始まると思います。
今回は、試験直前に確認しておきたい事をまとめました。

 試験当日までには必ず確認


センター試験の当日の朝は、誰しも不安になったり緊張したりするものです。ここでは、試験に万全の態勢で臨むための準備と注意点を確認します。
 当日の注意点については、受験案内や受験票、受験票と一緒に送付される「受験上の注意」にも書かれていますので、しっかり読んでおきましょう。

*体調管理はしっかり!

 入試の時期は風邪などで体調を崩しやすい時期です。ワクチン接種をしたり、こまめなうがい・手洗い、十分な睡眠・食事をして、日頃の体調管理にも気を配りましょう。試験前日にゲン担ぎに「カツ丼」を食べるという人もいると思いますが、食べ慣れないものを食べて、かえって体調を崩してしまった、とならないように注意しましょう。

 試験前日、準備が完了したらできるだけ普段どおりの生活をしましょう。緊張して寝つけなくても、暗い部屋で横になって目をつぶっているだけでも体は休まります。
 試験当日も緊張を感じたら、まずは深呼吸。鼻から吸って口で吐くと、緊張がほぐれます。温かい飲み物など、気持ちが落ち着くアイテムを用意しておくのもひとつの手です。
 緊張しているのはみんな一緒です。今までがんばってきたことを思い返して、自信をもって試験に臨みましょう。

 

持ち物の確認 ~前日と当日に確認をしよう~

 持ち物は早めに準備して、鉛筆等不足がある場合は買い足しておきましょう。忘れ物がないように、前日と当日の朝に確認をするようにしましょう。

持ち物チェックリスト【表】

1
受験票・写真票
2
「受験上の注意」(大学入試センターより受験票と同送)
3
学生(身分証明)証
4
黒鉛筆(H、F、HBに限る)
5
プラスチック製消しゴム
6
鉛筆削り(電動式・大型のもの・ナイフ類を除く)
7
時計(アラームを消すこと)
8
携帯電話(アラームを消すこと)
9
交通費(少し余分に)
10
試験場までの地図
11
お弁当・飲み物
12
ハンカチ・ティッシュ・マスク
13
受験票に「上履き持参」とあれば上履きと下履きを入れる袋
14
参考書
15
(必要に応じて)眼鏡・目薬
16
(必要に応じて)カイロ・ひざ掛け・座布団
17
(必要に応じて)雨具
18
(必要に応じて)リラックスグッズ(お菓子など)

 

試験会場を確認 ~会場には1時間前の到着を目安に~

 できれば事前に試験会場の下見をしておきましょう。当日初めて試験会場に向かうのでは、予想以上に時間がかかったり、受験する教室が分からず迷って遅刻ということにもなりかねません。下見ができない場合には、電車の時刻や所要時間、会場までの道のりを事前に確認しておきましょう。センター試験は土・日に実施されるため、交通機関の運行ダイヤが平日と異なる場合があります。下見をする際にもこの点に注意が必要です。
 また、当日に雪が降るなど気象による交通機関への影響も考慮し、リスクの少ない経路を選びましょう。前日から気象・交通情報はチェックしておきましょう。

 当日は交通機関の遅延なども考慮して、1時間前には試験会場に着くよう余裕をもって家を出発しましょう。早く着くことで、試験場の雰囲気にも慣れ、心に余裕がうまれます。  万が一、電車が事故や雪で遅れるなど不測の事態があった場合、試験時刻を繰り下げることもあります。慌てずに試験会場に向かうことが大事です。
 寝坊などによる遅刻で、試験開始時刻に間に合わなかった場合も、試験開始時刻後20分以内であれば受験が認められます(英語リスニングは試験開始時刻まで)。
 なお、試験は指定された会場以外ではいかなる理由があっても受験できません。必ず、指定された試験場に向かうようにしてください。とくに2015年度センター試験は受験パターンが細分化したことから、同じ高等学校の生徒でも受験教科・科目数などにより別会場となることがあります。必ず自分の受験票に記載されている試験会場に向かいましょう。
 急病(インフルエンザや風邪など)やケガにより、試験(2日間もしくはいずれか1日)を受験できない状況となった場合、受験票記載の「問い合わせ大学」に連絡をしましょう。受付時間内に限り、追試験
の受験を申請することができます。受付時間・申請方法はチェックリスト 2 の「受験上の注意」に記載されています。
 
*「心」の準備
「なるようにしかならない」と気持ちを切り替えてリラックスすることも大切。緊張を、ワクワクを、ドキドキを楽しむくらいの余裕を持たせましょう。試験会場に無事たどり着ければ問題なし!
 
ガンバレ受験生!! BY JJ
 


 

2019年1月14日月曜日

睡眠を制すものは記憶を制す! vol.3

睡眠を制すものは記憶を制す! vol.3


前回に引き続き「睡眠」の受験生に対する影響をまとめます。


⑤良質な睡眠の鍵を握るホルモン「メラトニン」

 記憶力を高める良質な睡眠をとるには、どんな点に気をつければいいのでしょうか。
 睡眠には、メラトニンというホルモンが深くかかわっています。メラトニンには体温を下げ、成長ホルモンの分泌を促す作用があります。体温が下がると、自然な睡眠に入りやすくなります。メラトニンにはもう一つコルチゾールの分泌を抑えるという大事な働きがあります。睡眠中にはコルチゾールというホルモンが分泌され、起床時に最大濃度となります。コルチゾールは朝起きたらすぐに活動できるために欠かせないホルモンです。このホルモンは欠かせないホルモンですが、出続けると身体に負担がかかってしまいます。つまり「よーい、どん!」の「よーい」が一晩中続くと脳や身体に大きな負担となります。また、コルチゾールは免疫機能を下げる働きがあるので、出続けると風邪を引きやすくなります。メラトニンはこれらのことを防いでくれるのです。
 メラトニンは、習慣的に寝る1~2時間前くらいから分泌が始まり、深夜の3~4時でピークに達し、急速に消えていきます。このリズムは、体内時計で決まっていますが、光にも強く影響されます。とくにブルーライトと呼ばれる青色の成分を含んだ光を浴びると、メラトニンの分泌は止まります。ブルーライトは昼間の太陽の光や蛍光灯に含まれているため、昼間、こうした光を浴びている間は、覚醒状態を維持できるのです。また、このブルーライトは元気が出るホルモンであるセロトニンを作るのにも大事な働きをします。後に述べるようにセロトニンは、食べ物に入っているトリプトファンという必須アミノ酸から体内で作られます。実は、これまで述べてきた睡眠に大変重要なメラトニンは、夜になってブルーライトが当たらなくなるとセロトニンがメラトニンに作り替えられるのです。
 また、朝早起きするということは、人の体内時計は約25時間周期ですから、毎朝、太陽の光を浴びることで、体内時計をリセットし、24時間周期(地球上の時間)に合わせることに欠かせません。そして、規則正しく起床して、しっかり活動することにより、高濃度に溜まったコルチゾールを消費し、脳や身体への負担を軽減できます。
 良質な睡眠のためには、メラトニンを規則正しく分泌させればいいのですが、現代の生活環境や受験勉強は、なかなかそれを許してくれません。たとえば、夜300ルクスの光を浴びていると、メラトニンの分泌が阻害されます。蛍光灯の明るさは、一般家庭で約300ルクスです。直接光源を見なくても180ルクス程度の光が目に入っており、パソコンやスマホの画面を見れば300ルクス近くなります。
 特に気をつけなくてはならないのは、夜1130分から朝5時までの間です。この時間帯は、160ルクスの光でもメラトニンの分泌を抑制してしまうからです。

15分間の昼寝を心がけ、寝る前はオレンジ色の光で

 そうはいっても、受験生の場合は、夜も勉強しないわけにはいきません。良質な睡眠と夜の受験勉強を両立させるためのヒントは、光の色にあります。
 ブルーライトには、集中力を高める効果がありますし、眠気を防ぐ効果もあります。ですから集中して勉強するには、太陽光や蛍光灯の光はベストなのですが、そのまま浴び続けていると、メラトニンが分泌されなくなるため、睡眠が阻害され、勉強した内容がうまく記憶できなくなってしまいます。
 ところが、寝る3時間くらい前からブルーライトを避けオレンジ色の光を浴びると、よく眠れることがさまざまな研究からわかってきました。そのため夜はブルーライトの成分を含まない電球の下で勉強するのが理想ですが、調色式のLED照明機器(照明光の色が変えられるもの)でも効果が確認されています。あるいはすでにお持ちの蛍光灯やLED照明機器を、電球色の蛍光管やLED管に替えることにより、ブルーライト成分は消えませんが、交感神経優位が副交感神経優位になるため、リラックスした状態になり、スムーズに入眠できることが判明しています。
 そこで、私が推奨したいのは、寝る3時間前までは、ブルーライトの下で、暗記や複雑な計算など集中が必要な勉強を行い、就床前の3時間は、オレンジ色の照明で、全体的な流れを振り返るような勉強をする方法です。歴史であれば、ブルーライトの下で年号や出来事を覚え、オレンジの光の下で、時代全体を概観するような勉強をするのです。
 そうして光に気をつけていても、受験生ではきちんとした睡眠がとりづらくなるのは確かです。脳が疲労したまま活動すると、午後になって眠気に襲われることになります。そこでお勧めしたいのが昼寝です。
 昼休みに15分間昼寝すると、授業中や家庭学習中の居眠りが減少し、休日も平日と同じ時刻に起床できるようになるという研究報告があります。椅子に座って目を閉じ、腕を机に乗せて上半身を支えてじっとしているだけで、脳は休息できます。体を横にしたり、15分以上寝たりすると逆効果ですから、注意してください。
 反対に、絶対に避けてほしいのが「夕寝」です。午後5~7時は「睡眠禁止時間帯」であり、ここで寝ると夜寝られなくなります。また、午後7~9時は「入眠禁止時間帯」で、深く寝ようとしても寝られません。どんなに眠くても、午後5時~9時は起きていなければならず、それを可能にするのが、15分間の昼寝なのです。


今週末からセンター試験。 焦らず、騒がず、平常心で臨みましょう。

ガンバレ受験生!! BY JJ

2019年1月7日月曜日

睡眠を制すものは記憶を制す! vol.2


前回に引き続き、受験生目線での睡眠の大切さをまとめてみました。


③脳を休めるノンレム睡眠と体を休めるレム睡眠

 睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠の2種類があることをご存知の方もいらっしゃると思います。レムとは Rapid Eye Movement の頭文字を略したもので、レム睡眠は、眼球の素早い運動を伴う睡眠です。夢を見るのはこのときで、体の筋肉は動きません。一方、ノンレム睡眠は眼球運動のない睡眠です。つまり、ノンレム睡眠は脳を休ませる睡眠、レム睡眠は身体を休ませる睡眠ということができます。
 睡眠中は、ノンレム睡眠とレム睡眠のペア(睡眠サイクル)を繰り返しています。睡眠サイクルは基本的に90分から120分間で、個人差があります。睡眠は前半(最初の2サイクル)と後半(朝方の2サイクル)で異なる様態を示します。夜間の前半では睡眠サイクルは、ノンレム睡眠の時間が長く、レム睡眠は数十秒しか続きません。後半になるとレム睡眠は30分ほど続きます。このレム睡眠は、試験前に集中して勉強すると延長します。
 最初の深いノンレム睡眠には、新たな記憶を固定するための準備をする働きがあります。また、後半の浅いノンレム睡眠には、運動における体の使い方や問題を見て解法パターンをパッと思い出すといった「手続き記憶」と呼ばれる記憶の固定や、いろいろな記憶を相互に関連づけて統合する働きがあります。
 一方、レム睡眠には、いつ、どこで、何があったかといった「エピソード記憶」の固定や、次に記憶をスムーズに思い出せるように索引をつける働きがあります。つまり、先にも述べたとおり「勉強するとレム睡眠が延長する」のはたくさん勉強したことをしっかり固定するためなのです。睡眠中は、こうして脳と体が交互に休息しながら、記憶の整理を行っています。

④理想的な睡眠時間は6時間または7時間半

 以上のことから、記憶力を高めるには、レム睡眠に加え、深いノンレム睡眠から浅いノンレム睡眠までの、すべてのプロセスが必要なことがわかります。
 寝つきが悪くて深いノンレム睡眠が阻害されると、昼間のいやな感情を、次の日も引きずることになり、心が癒されません。また、3~4時間程度の睡眠時間では、後半の浅いノンレム睡眠やレム睡眠がなくなるため、勉強して覚えた内容が固定されず、また索引付けもされないため思い出すこともできず、勉強が無駄になります。
 理想的な睡眠は、睡眠サイクルを4回ないし5回繰り返す睡眠です。睡眠時間でいえば、個人差はあるにしろ、6時間または7時間半が最適だということになります。
 気をつけていただきたいのは、レム睡眠は決して覚醒(起きている状態)に近い睡眠ではないということです。「ノンレム睡眠が深い睡眠で、レム睡眠が浅い睡眠だから、レム睡眠のときに起きればいい」といった声を時折耳にしますが、これは間違いです。最後のレム睡眠のときに起きてしまうと、記憶が固定できないだけでなく、熟睡感がなく、疲労感を伴った最悪の目覚めになります。一番スッキリ起きられるのは、その次の浅いノンレム睡眠のときなのです。そこで、布団に入ってから眠りに就くまでの時間(睡眠潜時)と勉強したことによるレム睡眠の延長時間を考慮して、布団に入っている時間は6時間半または8時間をめざしたいところです。

次回につづく・・・

ガンバレ受験生!! BY JJ

2019年1月5日土曜日

睡眠を制すものは記憶を制す! vol.1

睡眠を制すものは記憶を制す!

 
センター試験まであとわずかとなりました。私立大学入試も本番を迎えます。この時期、焦って無理をする生徒が必ずいますが、むしろ焦りは逆効果に成りかねません。なるようにしかならない、と張り詰めた気分を落ち着かせることも必要。「眠れぬ毎日を過ごしています」とある生徒さんからの悲鳴ともいえる声を聞きました。そこで、「睡眠」について考えてみしょう。
 
 
人間にとって大切な睡眠。この睡眠のメカニズムを正しく理解することで、効率よく受験勉強ができるはずです。以下、甲南大学 知能情報学部 前田 多章 先生の記述を元にまとめてみました。


①生活リズムを整えて良質な睡眠を手に入れよう

現代の日本は、良質な睡眠がとりにくい生活環境にあります。スマホや携帯などの個人情報端末の発達や、深夜まで明るい照明環境が、睡眠に悪影響を及ぼしているからです。1960年から2005年までの45年間で、日本人の平均就床時間は、小学生で60分、高校生で90分ほど遅くなっており、実質的な睡眠時間も1時間近く短くなっています。とりわけ受験期の子どもたちは、睡眠時間を削って勉強しがちです。しかし、勉強したことをしっかりと記憶するのには、睡眠がとても重要な役割を果たしていることがわかってきました。十分な記憶力を引き出すには良質な睡眠が不可欠なのです。では、良質な睡眠とはどのような睡眠でしょうか。睡眠と記憶のメカニズムをわかりやすく解説した上で、良い睡眠をとるために、家庭でできる工夫について考えてみます。


②睡眠は心身を修復し、健康を保つのに不可欠

 最初に、睡眠がいかに大切か、簡単に紹介しておきましょう。睡眠には、心身を修復したり、脳を休めたり、記憶を整理したりと、さまざまな働きがあります。とくに成長期の子どもにとって、睡眠は非常に重要です。成長ホルモンは血液中に高濃度で存在することにより働きます。低濃度では効果が出ません。成長ホルモンは、しっかり寝ていると睡眠の前半で高濃度に分泌され、この高濃度の成長ホルモンこそが子どもの成長を促してくれるからです。
 震災などに遭遇して十分な睡眠がとれなかった子どもたちには、発育が阻害されているケースが多くみられます。調べてみると、昼間の成長ホルモン量が高いのです。成長ホルモンの1日の分泌量は、寝ても寝なくてもほぼ一定ですから、昼間の分泌量が高いということは、夜間に濃度が高くならなかった、つまり十分な睡眠がとれなかったことを意味しています。この不充分な睡眠が成長に悪影響を及ぼすのは、何ヵ月も何年も続きます。
 睡眠には、体温を下げる機能があります。脳は人間の体の中で最もエネルギーを消費する器官で、筋肉の約4倍にものぼります。そのため、睡眠によって体温を下げ、休息させないと脳がオーバーヒート状態に陥り、不都合なことが起こります。
 たとえば、脳の扁桃核という部位は、恐怖や不安といった負の感情にかかわっていますので、睡眠により扁桃体を休息させることによって、こうした負の感情を軽減させることができます。昼間いやなことがあっても、一晩寝れば、いやな出来事自体は覚えていても、いやな感情は弱まったり消失したりします。しかし十分な睡眠がとれないと、いやな感情は次の日も持続します。睡眠は、心の修復にも一役買っているのです。
 今回のテーマである記憶にも、睡眠は深くかかわっています。きちんと睡眠をとらないと、昼間苦労して覚えたことも記憶として固定されず、忘れやすくなってしまうのです。
 このほか、睡眠不足は糖尿病や心臓病のリスクを高め、肥満率も高めます。さらに、良質の睡眠をとらないとストレスホルモンが睡眠中に過剰に出て風邪を引きやすくなり、また、うつ病を発症する確率も高まります。筋肉の疲労は、長くても数分程度の休息で回復しますが、勉強などによる脳の疲労(神経疲労)は、一晩の睡眠でしか回復しません。健康的に生活するためには、睡眠は死活的に重要なのです。
 
 
次回につづく・・・


ガンバレ受験生!! BY JJ

お知らせ

現在、高等部ブログリニューアルしております。 開設次第、ご案内差し上げます。 宜しくお願いします。